猫が眠そうにしているときや、眠りから目覚めたばかりの時などに、白い膜が張っているのを見かけたことはありませんか?

猫を飼っている皆さんならご存じかと思いますが、初めて見る人にはかなりの衝撃があると思います。この白い膜、他の動物では普段あまり見かけることがありませんが、名前はあるのでしょうか?また、どんな役割を果たしているのでしょうか。

そんな気になる「白い膜」の疑問点を解説いたします。

瞬膜の名前と由来

我が家の猫です。おでこを撫でであげたらこうなりました。ひどいですね…(笑)

 

猫が眠い時などに出てくるあの白い膜にはちゃんと名前があり、『瞬膜(しゅんまく)』または『第三眼瞼(だいさんがんけん)』といいます。

瞬膜とは、まぶたとは別に動く膜のことです。名前の由来ですが、爬虫類などが瞬きをするとき、目の内側から瞬間的に出てくるため「瞬膜」と呼ばれるそうです。

この瞬膜がある動物は、猫のほかにも犬、ホッキョクグマ、ラクダなどの一部の哺乳類、鳥類、爬虫類などに多く見られます。

ただし、猫や犬などの哺乳類に関しては、前述した「目の内側から瞬間的に出てくる」といった動作がなく、ゆっくりと出ることが多いので、『瞬膜(しゅんまく)』と呼ぶよりは『第三眼瞼(だいさんがんけん)』と呼んだほうがより適切かもしれません。

ちなみに猫の瞬膜は、目頭(めがしら)から出てきて、目尻(めじり)に向かって動きます。

 

瞬膜のはたらき

①目の表面の水分を保つため

猫が「まばたき」をするイメージってありますか?猫は、ヒトほどたくさんまばたきをしないですよね。ヒトが1分間に20回前後まばたきをすると仮定すると、猫は1分間におよそ3回前後しかしないのだそうです。

古い研究では18.5秒に一度まばたきをすると報告されています。猫もまばたきはするものの、1分に約3回とその回数は少ないです。また、猫は1回のまばたきのスピードが動物の中でかなり遅いと記述されています。

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これは、瞬膜がヒトのまぶたのはたらきに近い役割をもっているためです。

ヒトがまばたきする理由としては、主に「目のごみを流すため」「目の表面の打尾威を保つため」ですよね。猫もそれと同じで、猫の瞬膜は目のごみを除去したり、目の表面の水分を保つ役割を持っているというわけです。

ちなみに、もともと猫はヒトと比べて涙の量が多いって知っていましたか?猫の涙の量は、ヒトのおよそ5~10倍もあるそうです。猫が涙を流しているイメージはあまりありませんが、猫が目を閉じるたびに涙で目が潤うので、結果的に涙がたくさん作られているというわけですね。

②目のごみを除去するため

前述した通り、目の表面の水分を保つことのほかに、目に入ってしまったゴミを流す役割もあります。

猫は全身毛におおわれている生き物ですし、まつ毛が上のまぶたにしか生えておらず、総合的に見ても目に体毛やほこりなどのゴミが入りやすいといえます。

そのため、目のごみを除去して健康に保つ役割も担っているのでしょう。

③体力が落ちたときに体調を整えるため

これは①や②とは異なり、猫が瞬膜を出し続けている、長く出しているときなどに考えられる理由です。具体的には以下のような見解があります。

ネコは長期間の下痢などで体力が落ちると、瞬膜が眼を覆います。目の中に入る光の量を減らして、ロドプシン(脊椎動物の視物質の中枢色素で視紅ともいう。感光によって視神経を興奮させる役割をもつ)の消耗を避けているのでしょう。

http://optik-smz.jugem.jp/?eid=53

また、あまりにも長く瞬膜が出たままの状態だと、結膜炎やチェリーアイといった病気の可能性もあるので、瞬膜がなかなか引っ込まないようなら病院に相談しましょう。

 

瞬膜が病気のサインというケースも…

先ほども記載しましたが、猫の瞬膜は長時間(数日間など)出たままになることはまずありません。もし長時間出たままだったり、いつもと違う色だった場合は、以下の病気の可能性もあります。注意して観察しましょう。

①チェリーアイ

瞬膜が赤く腫れあがり、外側に盛り上がって見える症状です。正式名称は『第三眼瞼腺脱出』といいます。チェリーアイという名前の由来は、赤い瞬膜が外側に盛り上がった状態がサクランボに似ていることから来ているとされています。

瞬膜に対して何らかの傷がつき、その結果チェリーアイが出来てしまうとされています。

あまり痛いわけではないそうですが、腫れあがっているため気にして引っかいたり擦ったりしてしまい、その結果別の病気を併発してしまうため、早めの治療が必要です。

②結膜炎

まぶたと眼球をつなぐ役割をしている結膜に起こる炎症のことです。ウイルスや細菌による感染、外傷や砂、ほこりなどの異物などが原因で発症することが多いです。結膜炎を起こすと、涙や目やにの増加、結膜の充血などが見られます。

③角膜炎

他の猫とのケンカや、爪・植物のトゲによる外傷などが原因で目に傷がつき起こる炎症のことです。角膜炎を起こすと、痛がって目をショボショボさせたり、涙や目やにで目の周りが汚れたりします。

 

まとめ

70今回は猫がときたま見せる白い膜についてまとめてみました。

瞬膜という名前で、人間のまぶたのような役割を果たしているものだったんですね。

眠い時やリラックスしているときに見せてくれる瞬膜ですが、長期間出しっぱなしにしていたら病気のサインの可能性もありますので、よく観察してあげてくださいね。